中村家住宅見学で最も時間を費やした場所は?
中村家住宅は、ご存知のように北中城にある、国指定重要文化財です。元は仲村渠(なかんだかり)家ですが、戦後中村姓に改姓しています。先祖をさかのぼると、賀氏(がうじ)で1457年とのことです。
この中村家住宅を、「今帰仁グスクを学ぶ会」=ガイドの会が訪ねました。そのとき、一番見学時間が長かったのが、写真のフールでした。フールは、豚の飼育場ですが、人間のトイレでもありました。
それだけに?質問が続出し、案内してくださった地元のガイドさんも、時間をかけて説明したというわけです。
写真の右下、仕切りに小さな穴が開けられています。フールの構造は、すべて琉球石灰岩とよばれるサンゴの石で、しっかりと組み合わされています。
写真では黒く見えますが、仕切りの石に穴が開けられているのは、子豚を逃がすための穴です。子豚は母豚に押しつぶされることがあるからです。
この穴はちょうど子豚が抜けられる大きさなのです。
それにしても、このような大きな石灰岩が切り出せる場所があるのが、今帰仁グスクを見慣れている私には不思議でした。近くに石切り場があるとの説明でした。今帰仁グスクは古生代石灰岩の上に乗っていますが、中村家住宅は、サンゴの石灰岩の台地に建っているわけです。
沖縄は豚肉が昔から食べられていた、と考えられています。しかし、本当は野国総菅が1605年に芋を導入し、栽培が始まって後のことで、案外新しいのです。芋の皮など、人間が食べてあまった部分が豚の餌になったわけで、芋が栽培されてから豚を飼うようになりました。それでも、豚を食べられるのは、正月とか特別なときにだけでした。
人間のトイレとの関係は、ここでは書かないことにしましょう。
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